カナダのトルドー首相、辞任表明
カナダのトルドー首相、辞任の意向表明 「党内抗争」理由に9年間の政権に幕
2025年1月7日
カナダのジャスティン・トルドー首相(53)が6日、与党・自由党の党首と首相の職を辞任すると表明した。9年間にわたって国を率いてきたが、退陣を求める声が与党内で大きくなっていた。
トルドー氏は記者会見で、「党がしっかりした全国的な競争手続きを通じて次の党首を決めたのち、党首として、首相として、辞任する」と表明した。
「この国は次の選挙で真の選択が必要だ。私が党内抗争を戦わざるを得ない事態になっているなら、それはつまり、私が最良の選択肢ではないということなのだろう。そのことが、はっきりした」と説明た。
首相は、新党首が決まるまで首相としてとどまり、3月24日までは連邦議会を休会にする方針という。
トルドー氏は国内で不人気で、10月20日までに実施される連邦選挙を控えた自由党にとって足かせになっていた。
自由党幹部のサチット・メーラ氏は、週内に党役員会を開き、新党首選出に向けて動き出すとする声明を発表。「全国の自由党員は、ジャスティン・トルドーが10年以上にわたって党と国に対してリーダーシップを発揮してくれたことに計り知れない感謝の念を抱いている」とした。
また、「首相として、彼のビジョンはカナダ国民に変革的な進歩をもたらした」と評価。児童手当や、歯科医療や一部の処方薬に対する保険適用などを実績として挙げた。
一方、野党・保守党のピエール・ポワリエーヴル党首は、トルドー氏の辞意表明を受け、「何も変わっていない」とソーシャルメディア「X」に投稿。「自由党の議員や党首候補は全員、トルドーのしたこと全てを9年間支持した。そして今、自由党の顔をすげ替えて有権者をだまし、また4年間、カナダ国民にたかり続けようとしている。ジャスティンと同じように」と書いた。
トランプ氏の圧力
トルドー氏については、年内の連邦選挙を前に辞任を求める声が党内で膨らんでいた。長年の盟友だったクリスティア・フリーランド副首相が先月、突然辞任すると、圧力は一層強まった。
フリーランド氏は辞表の中で、アメリカのドナルド・トランプ次期大統領がカナダ製品に関税をかけると脅していることに触れ、トルドー氏が「重大な課題」に十分に対処していないと非難した。
トランプ氏は、カナダからの輸入品に25%の関税を課すと宣言している。経済の専門家らは、カナダがアメリカとの国境の警備を強化しない限り、カナダ経済に大きな打撃となると警告している。
カナダ政府はこの脅威に対応するため、抜本的な新しい警備策を国境に沿って実施すると発表している。
トランプ氏はトルドー氏の辞任表明を受け、関税をめぐる圧力が原因になったとインターネットに投稿。カナダはアメリカの「51番目の州」になるべきだと、改めてからかった。
そして、「カナダがアメリカと合併すれば、関税はなくなり、税金は大幅に下がり、常に取り囲まれているロシアと中国の船の脅威から完全に安全になる」とした。
自由党は2019年から、少数政党として政権を担っている。
フリーランド副首相の辞任後、トルドー首相はそれまで自由党を支えていた中道左派・新民主党や、ケベック地域の権益を代表するブロック・ケベコワ(ケベック連合)の支持を失った。
ここ数カ月の世論調査では、最大野党の保守党が自由党に2桁のリードを保っている。仮に総選挙がすぐに行われれば、自由党は大敗する可能性がある。(以下略、全文)
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