地殻変動・災害

カナダ沖で1日に2,000回の地震が発生、海底が引き裂かれていることを示唆、科学者たちが発表

出典:In Deep

2,000 earthquakes in 1 day off Canada coast suggest the ocean floor is ripping apart, scientists say
livescience.com 2024/03/21

今月(*2024年3月)初め、カナダ沖で 1日で約 2,000回の地震が発生したが、これは深海のマグマの破壊によって新しい海洋地殻が誕生しようとしている兆候である可能性がある。

しかし、この地震は人々に脅威を与えるものではない。それらは比較的小さく、バンクーバー島の海岸から約 150マイル(240キロメートル)離れたエンデバーサイトと呼ばれる場所に集中している。

この場所には多数の熱水噴出孔があり、海底が広がっているファン・デ ・フカ海嶺に位置している。この地域は、カスケード沈み込み帯(あるプレートが別のプレートの下のマントルに沈み込んでいる地域)とは別であり、大規模で破壊的な地震を引き起こす可能性のある海岸に近い場所にあるだけだと、オーストラリア大学の海洋地球物理学の博士候補者ゾーイ・クラウス氏は述べた。

「海洋中央部の海嶺は、実際にはマグニチュード 5をそれほど大きく上回るほどの大きな地震を引き起こすことはできません」とクラウス氏は語った。 「これはカスケード沈み込み帯で『大きな地震』を引き起こすわけではありません」

この地震は、海底がどのように引き裂かれ、新しい地殻が形成されるのかについて詳細を明らかにできるため、科学的に興味深いとクラウス氏は述べた。

エンデバーサイトでは、太平洋プレートとフアン・デ・フカ・プレートが引き離されている。この伸長によって長く直線的な断層が形成され、地殻が薄くなり、マグマが上昇することが可能になる。マグマが地表に到達すると冷えて固まり、新しい海洋地殻となる。

エンデバーサイトは、オーシャン・ネットワークス・カナダが運営する北東太平洋時系列海底ネットワーク実験の一環として継続的に監視されている。

クラウス氏によると、2018年以降、この地域では地震活動が活発になっているという。しかし、3月6日には活動が激化し、1時間あたり少なくとも 200回の小さな地震が海底を揺るがした。研究者たちは合計で 1日に約 1,850回の地震を検出した。

「大多数はマグニチュード1未満です。それらは小さな振動です」とクラウス氏は語った。 「しかし、これは非常に素晴らしいことです。なぜなら、どこで何が起こっているのか、どこで壊れているのか、どこで動いているのかを追跡できるからです」

クラウス氏は、地震の最も可能性の高い理由は、海底が最大限に伸び、多大な応力が蓄積していることだと述べた。エンデバーの現場では、これはプレートが約 3.3フィート(1メートル)引き離されるときに起こり、最終的にはマグマが薄くなった地殻内に上昇して冷えるときに応力が解放されると彼女は述べた。

これは約 20年周期で起こり、そのためこの地域は予定どおりに発生していると彼女は述べた。最後にこれほど地震が揺れたのは 2005年だったという。

クラウス氏によると、3月6日以降、背景レベルは若干高まっているものの、地震活動は沈静化しているという。彼女と同僚は現在、注意深く監視している。


1日に 2,000回の地震が発生した場所は、カナダのバンクーバー島海岸沖にある「フアン・デ・フカ海嶺」というところです。

場所としては、おおむね以下にあります。

フアン・デ・フカ海嶺

Google Map

フアン・デ・フカ海嶺などという馴染みのない呼び方には別にどうも感慨はないのですが、ここは「別の名称」が伴う場所でもあるのです。

それは、

という名称です。

このカスケード沈み込み帯という場所で「過去に何があったか」というと、

場所なのです。

10年以上前には、このカスケード沈み込み帯について書くこともよくありましたが、さほどの挙動もないまま現在に至っています。

最近(といっても、6年前の記事ですが)では以下の記事があります。

かつてマグニチュード9の巨大地震を発生させたアメリカ西海岸のカスケード沈み込み帯で「マントルが上昇している」ことが米オレゴン大学の調査により判明
In Deep 2018年8月2日

カスケード沈み込み帯は、アメリカで大地震が将来的に発生すると見られているサンアンドレアス断層と並んだ形で存在します。

おおむねですが、以下のような位置関係です。

カスケード沈み込み帯の場所

Google Map

このカスケード沈み込み帯で、西暦 1700年にマグニチュード9クラスの地震が発生したことを突きとめたのは、実は日本の研究者たちでした。

今から 21年前の 2003年に、国立研究開発法人 産業技術総合研究所の研究者と東京大学地震研究所の研究者たちが共同で発表した論文によって明らかとなったことでした。

まだアメリカ合衆国が成立する前の時期であり、どのようにそれを判明させたかというと、

日本の 300年前の古文書からの分析

だったのです。

そのニュースリリースは今でも以下にあります。

北米西海岸で西暦1700年に発生した巨大地震の規模を日本の古文書から推定
産業技術総合研究所 2003年11月21日

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