国際情勢・政治

国連世界食糧計画(WFP)、ガザ地区北部への人道支援を全面停止

▲世界食糧計画(WFP)は、支援物資の輸送車両が「飢えた人々の群れに取り囲まれた」と述べた

出典:BBC NEWS JAPAN|2024/02/21

世界食糧計画、ガザ北部への輸送を一時停止 
国連専門家はパレスチナ人女性への暴力を懸念

国連の世界食糧計画(WFP)は20日、パレスチナ自治区ガザ地区の北部で「救命」に関わる食料輸送を一時停止したと発表した。支援物資を載せた車両が、「市民秩序の崩壊による完全な混乱と暴力」に耐え切れなくなっていると述べた。一方、国連の専門家らは、パレスチナ人女性や少女に対するイスラエル軍による暴力が報告されていることに懸念を表明した。

WFPは声明で、決して軽い決定ではなかったと説明。職員が群衆や銃声、略奪に直面していると述べた。

国連は昨年12月から、ガザ北部に食料の欠乏が迫っていると警告している。

WFPは、最新の報告が「飢餓と病気への急降下」を示していると述べた。

イスラエル軍は昨年10月の地上攻撃の開始と同時に、110万人のパレスチナ市民に対し、ワディ・ガザ(ガザ渓谷)より北のすべての地域から南部に避難するよう命じた。この避難区域には、戦前にガザ地区で最も人口密度の高かったガザ市も含まれている。

ほとんどの市民はイスラエルの命令に従った。だが、イスラエル部隊が地域を包囲し、イスラム組織ハマスが北部に持っていた本拠地の大半を制圧する中、数十万人が北部にとどまることを選んだり、逃げられない状況に置かれたりした。

国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は1月、ガザ北部に残っている少なくとも30万人が、同機関の支援に依存していると報告していた。

北部への援助物資の配達は少なく、しかもイスラエル軍が通行を許可するかにかかっている。

WFPは先週末から1週間、「飢餓と絶望の流れを食い止める」ために、毎日10台の輸送車を送り込む予定だった。

しかし18日、車列が北に向かう途中、ワディ・ガザの検問所に近づくと、「飢えた群衆に囲まれ」、「乗り込もうとする人々が何度も現れた」。さらにガザ市に入ると、銃撃に加え、「高い緊張と爆発的な怒り」に直面したという。

さらに、南部ハンユニスと中部デイル・アル・バラフの間を走る数台のトラックが略奪され、運転手が殴られたという。

WFPは、支援チームがこの2日間でガザ地区における「前例のない水準の自暴自棄を目撃した」と述べた。

「食料と安全な水はまったく不足しており、病気が蔓延(まんえん)している。女性や子供の栄養と免疫が害され、 急性栄養不良が急増している」

「すでに、飢餓に関連した原因で死ぬ人が出ている」

支援物資のトラックから食料などを持ち出す人々

パレスチナ人女性への暴力に懸念=国連人権当局

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は19日、ガザ地区と、イスラエルが占領しているヨルダン川西岸地区で、イスラエル軍によるパレスチナ人女性や少女に対する暴力が報告されていることに7人の独立した国連専門家が懸念を表明したことについて、「状況を注意深く監視し続けている」との声明を発表した。

女性や子供に対する暴力問題の専門家であるリーム・アルサレム氏と、パレスチナ自治区における人権専門家のフランチェスカ・アルアニージー氏は、女性や少女がガザ地区で避難や逃避中に超法規的に殺害されたり、ガザやヨルダン川西岸で拘束された後、「イスラエル軍の男性将校に裸にされ、身体検査を受けるなど、複数の性的暴行を受けた」りした「信用できる申し立て」があったと説明し、「ぞっとした」と述べた。

また、「拘束されたパレスチナ人女性の少なくとも2人がレイプされたとの報告があるほか、レイプや性的暴行をすると脅された人もいる」と、それ以上の詳細を述べずに報告した。

イスラエルのジュネーヴ国連代表部は、この「卑劣で根拠のない主張」を否定。専門家らを「真実ではなく、イスラエルへの憎しみに突き動かされている」と非難した。

OHCHRは19日の声明で、 「イスラエルは、国際司法裁判所(ICJ)が命じた暫定措置を完全に順守し、その軍と治安部隊の行為に対する完全な説明責任を果たさなければならない」と強調した。

ハマスは昨年10月7日にイスラエル南部を襲撃し、少なくとも1200人を殺害、240人以上を人質として連れ去った。

イスラエルはこれを受けてガザ地区への攻撃を開始。ハマスが運営するガザ地区の保健省によると、これまでに女性や子供を中心に2万9000人が殺された。

(英語記事 Israel-Gaza war: World Food Programme stops deliveries to northern Gaza