エプスタイン文書、ゲイツ氏らに新疑惑・波及は世界経済フォーラム(WEF)へ
画像:「エプスタイン資料」にはビル・ゲイツ氏㊧とアンドルー元英王子が写り込んでいた=ロイター
出典:日本経済新聞|2026/02/20
エプスタイン文書、ゲイツ氏らに新疑惑 ダボス会議も交友の舞台か
【ニューヨーク=内山瑞貴】少女買春などの罪で起訴され2019年に自殺した米富豪ジェフリー・エプスタイン氏を巡り、世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)が同氏の人脈づくりの舞台になっていた可能性が浮上した。各国政財界の大物を仲介するなどして、各方面へ交友関係を広げていたという。英国でも人身売買疑惑の捜査が進み、長年見過ごされてきた構造にメスが入りつつある。
「ダボスのコンシェルジュ」自称、ゲイツ氏も仲介

米ブルームバーグ通信によると、エプスタイン氏がダボス会議を通じて自らの人脈を活用し、見返りを得ていた実態が浮かび上がってきた。米司法省が公表した電子メールに加え、独自に入手したエプスタイン氏のヤフーアカウントのメール内容を調べて判明したとしている。
エプスタイン氏は自らを「ダボスのコンシェルジュ」と称し、関係者らに便宜を図るかたちでネットワークを広げていた。知人のダボス会議参加を手配したり、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏を含む億万長者や政府高官との面会を取り付けたりすると約束していた。
ゲイツ氏は19日に予定していたインドで開催中の人工知能(AI)サミットでの講演を急きょキャンセルした。ゲイツ氏の声明ではエプスタイン氏に関する言及はなかった。

元米財務長官のローレンス・サマーズ氏に対しては、見返りを要求していたことも明らかになっている。ダボス会議への旅程調整を後押しする一方で、知人女性をWEFの人材育成プログラムに推薦するよう求めた。
WEFのブレンデ総裁も、エプスタイン氏とテキストメッセージでやりとりを交わしていた。2度にわたり夕食を共にしていたことが判明し、WEFは独立調査に乗り出した。
英国も「ロリータエクスプレス」を捜査

英国では、エプスタイン氏による女性の人身売買について当局の捜査が始まった。ロンドン近郊の空港で、何十機ものプライベートジェットを悪用した疑いがあるとされる。
英メディアによると、エプスタイン氏のジェット機は英国のスタンステッド空港を90回にわたり行き来した形跡が残っている。このうち15回は同氏が08年に有罪判決を受けた後の記録だった。
エプスタイン氏のプライベートジェットは「ロリータエクスプレス」と呼ばれていた。
こうした中、英国のチャールズ国王の弟であるアンドルー元王子が19日、英警察に逮捕された。2010〜11年に英国の貿易特使を務めていた際、エプスタイン氏に機密情報を漏らした疑いが持たれている。
米西部「ゾロ牧場」で殺人捜査進む

米西部ニューメキシコ州では、かつてエプスタイン氏が所有していた「ゾロ牧場」の捜査が進んでいる。当局は周辺に、性的な人身売買で連れてこられた女性の遺体が埋められている恐れがあるとみている。
ゾロ牧場は有名な観光地サンタフェの郊外にある。州議会は16日、エプスタイン氏が牧場で女性への性的暴行などに及んでいた可能性があるとして、調査委員会を設ける決議を全会一致で可決した。
地元では1990年代初頭から、同牧場で性的虐待があるとの訴えがたびたび州や米連邦捜査局(FBI)に寄せられていた。これまで本格的な捜査は実施されていなかった。
スタンズベリー下院議員によると、牧場では外国籍の女性2人が殺害され、敷地内に埋められた可能性があるとの通報もあった。当局は過去の対応を含めた実態解明に着手している。
投資会社アポロにも波紋
企業にも影響は及んでいる。

ブルームバーグによると、最新の公開文書から、米投資会社アポロ・グローバル・マネジメントのマーク・ローワン最高経営責任者(CEO)とエプスタイン氏が長年にわたり関係があった疑いが判明した。メールを交わし、複数回にわたって面会を予定していたという。
エプスタイン氏がローワン氏からプライベートジェットの購入を検討していたが、取引には至らなかったとも報じられている。
米教員組合は17日、エプスタイン氏との関係に関する過去の開示が不十分だった可能性があるとして、米証券取引委員会(SEC)にアポロとローワン氏を調査するよう要請した。アポロ側は18日、「新たな事実はない」とする声明を発表し、疑惑を否定している。
エプスタイン元被告との関係発覚のビル・ゲイツ氏、AIサミットでの基調講演をキャンセル
出典:AFP BB News|2026/02/19
【2月19日 AFP】ゲイツ財団は、少女らへの性的人身取引の罪で起訴され勾留中に自殺した富豪ジェフリー・エプスタイン元被告の捜査に関する資料「エプスタイン・ファイル」に名前を記載された米マイクロソフト共同創業者のビル・ゲイツ氏が、インドで開催中の主要AI(人工知能)サミットで19日に予定されていた基調講演をキャンセルしたと発表した。
同財団は声明で、「慎重に検討した結果、AIサミットの主要優先事項に焦点が当てられるようにするため、ゲイツ氏は基調講演を行わない」「ゲイツ財団は、インドにおける共通の保健と開発の目標推進に向けた活動に引き続き全力で取り組んでいく」と述べた。
インドの首都ニューデリーで開催されているAIインパクト・サミットでは19日、同国のナレンドラ・モディ首相やIT企業の最高経営責任者(CEO)らが、AIがもたらす機会と脅威について講演する。
ゲイツ財団は、ゲイツ氏の代わりに同財団のアフリカとインドの事務所長が講演するとしている。
ゲイツ氏は今月、エプスタイン元被告と過ごした「すべての瞬間」を後悔していると述べた。一方、元妻のメリンダ・フレンチ・ゲイツ氏は、元夫にはエプスタイン元被告との関係についてまだ答えるべき疑問があると述べている。
米司法省が先月新たに開示した300万ページ以上の資料には、多くの著名人とエプスタイン元被告がやり取りしたメール含まれており、多くの場合、温かい友情、違法な金融取引、プライベートな写真などが明らかになっている。
開示されたメールの下書きの中で、エプスタイン元被告はゲイツ氏がロシア人少女や既婚女性と不倫していたと主張。
自身とゲイツ氏との関係について、「ロシア人少女たちとの性行為の結果に対処するためにビルが薬を手に入れるのを手助けしたことから、既婚女性との密会を手助けしたことまで」多岐にわたると記している。
エプスタイン・ファイルに名前が記載されているからといって、その人物が犯罪行為をしたことにはならない。
億万長者の慈善家であるゲイツ氏は、4日に放送された9News Australiaのインタビューで、「彼(エプスタイン元被告)と過ごしたすべての瞬間を後悔しており、謝罪する」と述べた。
さらに、「あのメールが送られたことはない。デマだ」「彼が何を考えていたのかは分からない。私を何とかして攻撃しようとしていたのだろうか?」と続けた。
ゲイツ氏の広報担当者も新たな資料が開示された後、「これらの文書が示しているのは、ゲイツ氏と継続的な関係を築けなかったことに対するエプスタイン元被告のいら立ちと、彼がわなにかけ、名誉を傷つけるためにどれほどのことをしようとしていたかということだけだ」と述べた。
一方、メリンダ氏は米NPRのインタビューで、今回の資料開示は「結婚生活での非常につらい時期の記憶をよみがえらせた」と語った。
「そこにどんな疑問が残っているのか、私はすべてを知ることすらできないが、それらの疑問は、彼ら、そして元夫に向けられるべきだ。答えるべきは彼らであり、私ではない」と述べた。(c)AFP
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