2025年日米首脳会談:ベテラン外交ウォッチャー「米大統領にここまで赤裸々に媚びへつらう日本外交は見たことがない」
▲画像出典:首相官邸「令和7年10月28日、高市総理は、迎賓館赤坂離宮でアメリカ合衆国のドナルド・トランプ大統領と首脳会談を行いました。」
ベテラン外交ウォッチャーが日米首脳会談を読み解く「米大統領にここまで赤裸々に媚びへつらう日本外交は見たことがない」

2025/10/31|Yahooニュース
米国のドナルド・トランプ大統領が訪日し、就任したばかりの高市早苗首相と首脳会談した。今回の会談は、外交の観点からどう読み解けるのか。元朝日新聞政治部長の薬師寺克行氏が解説する。
【画像】訪日したトランプ米大統領と握手を交わす日本を代表する大手企業のCEO
おみやげは、安倍晋三元首相の使っていたゴルフパターに、松山英樹選手のサインが入ったゴルフバッグ。昼食のメニューは、米国米を使ったリゾットに、米国産牛肉のステーキ。
高市早苗首相は笑みを絶やさず、米軍の空母では、米兵を前に喜びを露わにして飛び跳ねた。官僚が用意した高市の発言は、訪日したドナルド・トランプ米大統領を礼賛する言葉であふれていた。
トランプ訪日の成果物として残されたのは、民間企業を含めた数々のビジネスに関する覚書などの文書だった。この3日で、米国はいくら稼いだのだろうか。これ以上ないほどのもてなしに、トランプが満足したことはいうまでもなかろう。 米大統領にここまで赤裸々に媚びへつらう日本外交を、私は見たことがない。
両国首脳は冷戦時代、確固とした日米安保体制を前提に、貿易不均衡など経済問題で正面からよくぶつかった。細川護熙首相とビル・クリントン大統領のように、「決裂」を公表したこともあった。
それがいまや、経済問題はもちろん、安全保障の分野も安定感を欠き、トランプに無理難題を押しつけられないよう、細心の注意を払わなければならない。
日本のほうから米国に何かを要求するなど、考えられない。「自尊心のかけらもない」と不快に思う日本の国民は多いだろう。
今回の日米首脳会談を担当した政府関係者も、そんなことは百も承知だ。「ではほかにどういう選択肢があるというのか」という言葉が彼らからは返ってくる。

