公的資金600億円超を投じる内閣府のグローバル・スタートアップ・キャンパス構想の戦略リーダーはエプスタインの側近
ニューヨーク・タイムズ報道:エプスタインの側近が日本でキャリアの再生を掴んだ経緯
2026年2月26日発行2026年2月27日午前3時20分(東部標準時)更新
この記事は、2026年2月27日付ニューヨーク版B面1面に「日本、エプスタインの友人の第二の人生」という見出しで掲載されました。

ニューヨーク・タイムズが報じたところによると、千葉工業大学学長の伊藤穰一氏はエプスタイン氏から巨額資金を受け取り、私有島を5回以上訪問した記録が司法省文書で判明。伊藤氏は内閣府のグローバル・スタートアップ・キャンパス構想(GSC)の戦略リーダーだが、これを知ったMIT、ハーバード、カーネギーメロン、慶應義塾大学が参加拒否を表明し、プロジェクトは遅延中だ。この国家事業は公的資金600億円超を投じ、2028年完成を目指すが、政府は伊藤氏の専門性を擁護している。(全文を読む)
内閣府が主導し、公的資金600億円超を投じる「グローバル・スタートアップ・キャンパス構想」において、戦略リーダーを務める伊藤穰一氏の過去の交友関係が波紋を広げています。伊藤氏は、児童売春などの罪で有罪判決を受けたジェフリー・エプスタイン氏との不適切な資金援助や親密な交流が発覚し、かつてMITなどの要職を辞任していました。この経歴を背景に、MITやハーバード大学といった海外の有力校は、同プロジェクトへの協力や参加を拒否する姿勢を鮮明にしています。日本政府は伊藤氏の専門性を評価し続行を図っていますが、国際的なパートナーシップの崩壊により、国家事業の大幅な遅延が懸念されています。本資料は、特定の人物の起用が引き起こした倫理的問題と、日本のイノベーション政策が直面している深刻な停滞の現状を浮き彫りにしています。
伊藤穰一氏とジェフリー・エプスタイン氏の親密な関係
司法省が公開した最新のエプスタイン関連ファイルや、ニューヨーク・タイムズ紙による分析で明らかになった、伊藤穰一氏とジェフリー・エプスタイン氏の親密な関係を示す具体的なエピソードは以下の通りです。
4,000通を超えるメールのやり取り
ニューヨーク・タイムズの分析によると、伊藤氏とエプスタイン氏は長年にわたり、4,000通以上のメールを交換していました。この膨大なメールの記録は、二人の交流が単なる儀礼的なものではなく、極めて頻繁かつ継続的なものであったことを示唆しています。メールの内容からは、伊藤氏がカリブ海にあるエプスタイン氏の私有島を5回以上、頻繁に訪れていたことも判明しています。
娘の名前に関する「冗談」
二人の親密さを如実に物語るエピソードとして、伊藤氏が自身の娘に「ジェフリナ(Jeffreena)」という名前をつけようかと冗談を飛ばしていたことが、メールの記録から明らかになりました。この発言は、伊藤氏がエプスタイン氏(ジェフリー)に対して抱いていた親近感や、二人の関係の深さを象徴する事実として報じられています。
判明した背景と影響
- 発覚の経緯: これらの事実は、司法省が公開したエプスタイン関連の最新ファイルによって新たに判明したもので、伊藤氏が2019年にMITメディアラボの所長を辞任した当時に知られていた関係よりも、はるかに深い繋がりがあったことを示しています。
- 伊藤氏の主張: 伊藤氏はこれらの具体的なやり取りについてのコメント要請には応じていませんが、以前の声明では、エプスタイン氏の犯罪行為については一切関与しておらず、証拠も見たことがないと述べています。
- プロジェクトへの打撃: この「4,000通のメール」や「名前の冗談」といった新たな暴露は、グローバル・スタートアップ・キャンパス(GSC)構想のパートナー候補であった海外大学(MITやカーネギーメロン大学など)にとって、さらなる協力の妨げ(抑止力)なると指摘されています。
政府(内閣官房)は、伊藤氏に不正行為は確認されていないとして、彼の「高い見識」を理由に起用を正当化していますが、このような私的な親密さを裏付ける具体的な証拠が明らかになったことで、国際的な信頼回復はより困難な状況となっています。
グローバル・スタートアップ・キャンパス構想とは



日本の政府高官らは、伊藤穰一氏が主導するテクノロジーと起業の取り組みを支援しているが、同氏のジェフリー・エプスタイン氏との関わりが、このプロジェクト立ち上げの取り組みを危うくする可能性がある。

起業家の伊藤穰一氏は、エプスタイン氏とのつながりを通じて調達した数百万ドルを隠蔽しようとしていたことが発覚した後、2019年にマサチューセッツ工科大学の要職を辞任した。また、ハーバード大学の役職、マッカーサー財団、ニューヨーク・タイムズの役員も辞任した。
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GSC構想のリーダーとしての伊藤氏の役割
グローバル・スタートアップ・キャンパス(GSC)構想における伊藤穰一氏の役割は、政府の公式発表と内部実態で大きな乖離があり、実質的にはプロジェクトの核心的な戦略立案者およびリーダーとしての役割を担っています。
1. 戦略を主導する「3人のリーダー」の一人
伊藤氏は2024年初頭、日本政府の高官2名とともに、グループの戦略を主導する**「3人のリーダー」の一人として指名されました。この指名は、自民党内で強い影響力を持つ甘利明氏が送ったメモによって明らかになったものです。政府内では、彼がプロジェクトに「新たな戦略」を導入したことで、「急速な進展」が可能になったと評価する声もあります。
2. プロジェクトの「発案者」および「設計者」
内部文書や通信文によると、GSC構想の枠組みそのものが「伊藤穰一教授のアイデア」のみに基づいていることが示されています。彼は単なる助言者ではなく、公的資金600億円超を投じるこの国家事業のコンセプトそのものを生み出した人物と目されています。
3. 公式な肩書きと実態の乖離
政府(内閣府・内閣官房)は、対外的には伊藤氏の役割を限定的に説明しています。
- 公式な立場: 「エグゼクティブ・アドバイザー」や「非常勤のアドバイザー」と位置づけ、あくまで「有益な情報や助言」を提供する立場であると説明しています。
- 実態: しかし、政府が提携候補の大学に伝えた内容では、伊藤氏はプロジェクトにおいて「極めて重要な役割(pivotal role)」を担っているとされています。
4. 国際的なネットワークの活用
伊藤氏は「人脈作りの達人」として知られ、かつてMITメディアラボの所長を務めるなど、アメリカのテクノロジー業界やアカデミアに深い人脈を持っていました。GSC構想は、MITとの提携を基盤とし、アメリカの研究者を招聘して日本の起業家と連携させることを目指していたため、彼の国際的なコネクションがプロジェクトの推進力として期待されていました。
5. 政治的支援を背景とした主導権
伊藤氏の起用とリーダーシップは、高市早苗氏や甘利明氏といった政権中枢の強力な支持に基づいています。特に甘利氏は、彼を戦略リーダーに据える上で決定的な役割を果たしました。
しかし、このような「戦略リーダー」としての中心的な役割が、結果としてMITやカーネギーメロン大学などの有力校が「伊藤氏が関与するプロジェクトには参加しない」と表明する事態を招き、プロジェクトの遅延を引き起こす要因ともなっています。

