南海トラフ沿いでゆっくり滑り観測・四国や紀伊半島で活発な地殻変動
気象庁が南海トラフ巨大地震に関連した最新の調査報告書を発表しました。
気象庁は今年3月までに四国地方や紀伊半島でいわゆる「ゆっくり滑り」が複数観測されたとして、南海トラフ巨大地震の前兆現象である可能性も否定出来ないと指摘。ゆっくり滑りが観測されたのは紀伊半島西部で、2月20日から2月22日の間に三重県から和歌山県でひずみの変化が観測されたと報告しています。
また、その前にも1月25日から2月5日にかけて、四国東部で深部低周波地震(微動)を観測し、深部低周波地震(微動)活動とほぼ同期して、周辺に設置されている複数のひずみ・傾斜計で地殻変動を捉えていました。
奇しくも2月27日から千葉県東方沖でもゆっくり滑りが観測されており、2月は日本全体でゆっくり滑りが多数観測されたということになります。ゆっくり滑りは東日本大震災前にも観測された現象で、大地震前の特殊な地殻変動ではないかとする説もありますが、現時点で一連のゆっくり滑りが大地震の前兆現象なのかは分かっていません。
ただ、南海トラフ沿いでゆっくり滑りや地殻変動が観測されたのは事実であり、引き続き南海トラフ巨大地震を含めた大地震への注意が必要です。
気象庁 南海トラフ地震関連解説情報について -最近の南海トラフ周辺の地殻活動-
https://www.jma.go.jp/jma/press/2403/07a/nt20240307.html
地震の観測状況
(顕著な地震活動に関係する現象)
南海トラフ周辺では、特に目立った地震活動はありませんでした。
(ゆっくりすべりに関係する現象)
プレート境界付近を震源とする深部低周波地震(微動)のうち、主なものは以下のとおりです。
四国東部:1月25日から2月5日
紀伊半島西部:2月18日から23日
地殻変動の観測状況
(ゆっくりすべりに関係する現象)
上記(1)、(2)の深部低周波地震(微動)とほぼ同期して、周辺に設置されている複数のひずみ計でわずかな地殻変動を観測しました。周辺の傾斜データでも、わずかな変化が見られました。
GNSS観測によると、2019年春頃から四国中部で観測されている、それまでの傾向とは異なる地殻変動は、最近は鈍化しているように見えます。また、2022年初頭から、静岡県西部から愛知県東部にかけて、それまでの傾向とは異なる地殻変動が観測されています。
(長期的な地殻変動)
GNSS観測等によると、御前崎、潮岬及び室戸岬のそれぞれの周辺では長期的な沈降傾向が継続しています。