政治・国際社会

自衛隊「統合作戦司令部」発足、陸海空自衛隊を一元的に指揮

出典:産経新聞|2025/03/24

政府は陸海空自衛隊を一元的に指揮する常設組織「統合作戦司令部」を3月24日に発足させる方向で調整に入った。平時から陸海空自衛隊を部隊レベルで統合運用し、有事に備える。米軍との連携を円滑にし、軍事的威圧を強める中国や北朝鮮への抑止力を高める狙いもある。複数の政府関係者が明らかにした。

統合作戦司令部は防衛省本省のある東京・市谷に約240人態勢で発足する。陸海空幕長と同格の「統合作戦司令官」をトップに、副司令官、幕僚長、「背広組」の事務官が就く司令官補佐官を1人ずつ置く。

初代の作戦司令官は、海上自衛隊で潜水手当の不正受給などの不祥事が相次いでいるため、陸上自衛隊か航空自衛隊から選ばれるとの見方がある。

2025/03/25 産経新聞

これまでは「制服組」トップの統合幕僚長が防衛相の補佐と作戦指揮を兼ねていたが、「有事に手が回り切らなくなる」(防衛省幹部)との懸念があった。作戦司令部発足後は、作戦司令官が平時から陸上総隊、自衛艦隊、航空総隊、自衛隊サイバー防衛隊、宇宙作戦群を一元的に指揮する。統幕長は防衛相の補佐に専念し、役割分担を図る。

日本は他国のミサイル攻撃に備えた反撃能力(敵基地攻撃能力)の整備を進めているが、攻撃目標の設定など運用面で米軍の協力が欠かせない。米軍は在日米軍を再編し、自衛隊の統合作戦司令部の調整窓口となる「統合軍司令部」を発足させる方針だ。

昨年4月に当時の岸田文雄首相とバイデン米大統領が発表した共同声明では、「作戦と能力のシームレス(切れ目のない)な統合を可能にし、2国間でそれぞれの指揮統制の枠組みを向上させる」と明記した。

ただ、自衛隊は憲法上の制約から、韓国軍と在韓米軍のように連合司令部を設けて米軍と指揮権を一元化することは難しい。実効的な運用体制の構築に向け、日米の作業部会が今年度末までをめどに具体策を詰める。

石破茂首相は2月上旬にもトランプ大統領と会談する方向で調整している。日本政府はトランプ政権とも、自衛隊と米軍の連携強化の議論を加速させたい考えだ。

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