金融・経済

韓国が2024年に中央銀行デジタル通貨を試験導入

▲画像出典)The Korea Times:韓国銀行(BOK)のイ・チャンヨン総裁(左)と国際決済銀行ゼネラルマネジャーのアグスティン・カルステンス氏が木曜日、ソウルのBOK本部で中央銀行デジタル通貨について話し合う。韓国銀行提供

出典:Gigazine|2023/11/24

韓国銀行が韓国金融委員会および韓国金融監督院と協力し、10万人の国民を対象に中央銀行デジタル通貨(CBDC)を試験導入することを明らかにしました。

Korea to pilot digital currency with 100,000 citizens next year – The Korea Times
https://www.koreatimes.co.kr/www/nation/2023/11/602_363810.html

Korea to test central bank digital currency with public vouchers
http://www.koreaherald.com/view.php?ud=20231123000636

今回のCBDC流通試験では、選ばれた10万人の個人が、CBDCの形で商業銀行が発行する「預金トークン」で何らかの財・サービスを購入できるようになります。ただし、参加者は指定された支払い目的のみにトークンを使用するよう制限され、個人的な送金を含むその他の行為は許可されていません。

対象となる個人は商業銀行により決定され、2024年9月または10月頃より3カ月間試験が継続される予定です。

韓国政府はすでにバウチャー(利用券)の形で医療や福祉などの補助を行っていますが、バウチャーの形態は紙だったりデジタルだったりとバラバラで、統合管理には不向きです。そのため、CBDCを既存のバウチャー制度に組み込むことで管理の課題を解決しようとする動きも見られています。

韓国銀行デジタル通貨戦略チーム長のキム・ドンソプ氏は、「CBDCをバウチャーとして利用することで管理側の効率が向上するでしょう」と説明し、決済プロセスの遅さ、取引後の権利検証の限界、不正請求に対する懸念などをCBDCで解消できる可能性があると指摘しました。

金融庁デジタル資産調査チーム長のアン・ビョンナム氏は「韓国はすでに高度にデジタル化された国であるため、CBDC形式のバウチャーの導入は画期的な変化ではないかもしれません」と述べ、仮に導入が行われたとしても国民に混乱を生じさせることはないだろうとの見方を示しています。

国際決済銀行のアグスティン・カーステンス総裁はこのプロジェクトを「デジタル・ウォン」と呼んで歓迎し、将来の通貨制度に向けた中央銀行の取り組みを前向きに評価しました。