健康・食・医療

mRNA医薬品開発の米国Arcturus Therapeuticsがアクセリード株式会社と合弁で千葉県に日本法人設立、福島県南相馬市に製造工場を建設中

出典:JETRO|2022/06/09

Arcturus Therapeuticsは、米国を拠点とする後期臨床ステージの製薬企業で、感染症用ワクチンをはじめ、肝臓や呼吸器の希少疾患に有効なメッセンジャー RNA (mRNA) 医薬品の研究開発を行っている。2013年設立で、従業員数は160名以上。現在は米国ナスダックに上場している (銘柄名 ARCT)。

同社独自の脂質ナノ粒子(LNP)はLUNAR®と呼ばれる。LUNAR®によるドラッグデリバリーシステムと、独自の方法によるRNA核酸医薬(mRNA、siRNA、及びmiRNAを含む)の設計および製造が同社のコア技術である。生体内で保護的、または治療的な効果を持つタンパク質を産生するためのDNA 塩基情報が転写されたmRNA は、LUNAR®に包埋され、目的の細胞内に効率的に運搬されることにより、保護、もしくは治療効果を示す。米国ジョンソン・エンド・ジョンソンのグループのヤンセン・ファーマシューティカルズ、武田薬品工業やその他の製薬企業と共同研究開発を行っている。新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、新型コロナウイルス感染症のmRNAワクチンの開発に着手し、現在米国、シンガポール、及びベトナムで臨床試験を実施している。

福島県・南相馬に2023年竣工予定のmRNA原薬製造工場

同社はアクセリード株式会社と合弁で、2021年4月に千葉県柏市に株式会社ARCALISを設立した。同年5月には福島県南相馬市での工場建設計画を発表し、2025年までに新型コロナウイルス向けワクチン製剤を含む次世代型 mRNA ワクチンの製造設備を整える予定である。

株式会社ARCALISは、日本で初めてmRNA医薬品に特化した受託製造開発(CDMO)事業を展開する。Arcturus Therapeuticsの研究開発、臨床試験、及び商業用パイプラインの製造拠点としての役割を果たしつつ、世界中の製薬会社、創薬ベンチャー、アカデミア等幅広い顧客に、製造法および分析法開発から原薬/製剤の製造まで一貫して行い、高品質の mRNA医薬品の安定供給をする世界初の統合型mRNA医薬品 CDMO事業を展開する計画。Arcturus TherapeuticsからmRNA製造技術をライセンス取得し、2023年中にcGMP 基準(注)を満たした医薬品の製造供給事業開始を目指す。

同社の合弁会社 ARCALIS 社の創業に際し、ジェトロ対日投資・ビジネスサポートセンター(IBSC)は、ビジネスパートナー探し/ビジネスマッチング、PR支援を行った。

  1. (注)米国食品医薬品局(FDA)が定めた現行適正製造規範

(転載終了)