年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、全資産でサステナビリティー投資を推進-逆風下も積極姿勢
出典:Bloomberg|2025/05/28
GPIF理事長、全資産でサステナ投資推進へ-逆風下も積極姿勢
- 「これまで行ってきたESG投資活動を進化させる」と内田理事長
- 市場の成長が長期的な投資リターン確保の上で必要不可欠とも指摘
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の内田和人理事長は28日、全資産を対象にサステナビリティー(持続可能性)投資を推進する考えを示した。
同日、都内でのカンファレンスで講演した。世界的に逆風が吹くESG(環境・社会・企業統治)の分野においても、積極的に投資を進めていく姿勢を示した。三菱UFJ銀行元常務の内田氏が4月に新理事長に就任してから、公の場で発言するのは初めてとなる。
参考:
ESG投資とは
ESGは、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の英語の頭文字を合わせた言葉です。投資家が企業の株式などに投資するとき、これまでは投資先の価値を測る材料として、主にキャッシュフローや利益率などの定量的な財務情報が使われてきました。それに加え、非財務情報であるESGの要素を考慮する投資が「ESG投資」です。GPIFは、ESG投資を推進しています。
ESGという言葉は、2006年に国連が機関投資家に対し、ESGを投資プロセスに組み入れる「責任投資原則」(PRI)を提唱したことをきっかけに広まりました。(出典:年金積立金管理運用独立行政法人HP)

内田氏は「これまで行ってきたESG投資活動を進化させ、新たに全資産に対してサステナビリティー投資を推進する」と説明。社会課題の解決と収益性の両立を図る「インパクト投資」については、今年度に調査・研究を進めつつ、対象資産や手法などについての検討を行う考えを示した。
約260兆円を運用する世界最大規模の年金基金であるGPIFは3月末にサステナビリティー投資方針を公表。長期的な収益確保の観点から、ESG投資やインパクト投資などを推進する姿勢を明確に打ち出していた。
内田理事長はサステナビリティー投資に関して、資本市場の持続的な成長が「長期的な投資リターンを確保する上で必要不可欠」と指摘。そのための課題として、ESG評価のすそ野拡大と評価機関の透明性向上を挙げた。指数会社には「ESG評価の品質強化に向けて情報開示を積極的に進めていただきたい」と求めた。
ESG投資を巡っては世界的な逆風に直面している。1月に就任した米国のトランプ大統領は反ESG色を鮮明にしているほか、主要市場の欧州ではESGファンドの閉鎖が相次いでいる。
モーニングスターの分析によると、世界のESGファンド市場では今年1ー3月(第1四半期)に推計86億ドル(約1兆2000億円)の資金が流出し、四半期ベースで過去最高水準に達した。

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