米司法省、FRB元上級顧問を逮捕 中国に機密情報を流した疑い
出典:朝日新聞|2025/02/01
米司法省は1月31日、機密性の高い経済情報を中国に流すなどのスパイ行為の疑いで、米連邦準備制度理事会(FRB)の元幹部を逮捕したと発表した。元幹部は経済博士で、「授業」の名目で大学院生を名乗る中国当局の職員とホテルの一室で接触し、情報を渡していたという。
逮捕されたのは、米国の中央銀行にあたるFRBのジョン・ロジャース元上級顧問(63)。FRBの国際金融部門で働いていた2018年ごろから、FRBの金融政策を決める会合や、当時のトランプ政権の対中関税などに関わる情報を中国情報当局の職員に流した疑いがある。
同省などによると、ロジャース元上級顧問はこうした情報を先方に電子メールで送ったり、中国への出張時に印字して持参したりしていた。面会場所は中国国内のホテルの部屋だったという。
FRB元上級顧問、中国に機密情報流すスパイ行為容疑で逮捕・起訴
出典:Bloomberg|2025/02/01
米司法省などは1月31日、連邦準備制度理事会(FRB)のジョン・ロジャース元上級顧問(63)を、中国政府に資する目的で、米政府の機密情報流出を共謀した容疑で逮捕・起訴した。
起訴状によると、ロジャーズ被告は2018年から、中国の諜報、安全保障機関と連携し、共謀者からの「情報提供依頼」に応じた。FRBの理事向けの経済関連の機密データやブリーフィング資料、連邦公開市場委員会(FОMC)の今後の発表に関する機密情報を入手しようとしていた。
ロジャーズ被告は経済学博士号を持ち、2010-21年、FRBの国際金融部門に助言を行っていたという。
米検察当局は声明で、ロジャーズ被告が中国の共謀者とデータを共有し「インサイダー取引に似た方法で、中国が米国市場を操作することを可能にする」恐れがあったとしている。共謀者のうち2人は中国の諜報・治安機関に勤務し、中国の大学院生を装っていたという。また、ロジャーズは被告は2023年、中国の大学で非常勤教授の報酬として約45万ドルを受け取った。
米国財務省のデータによると、2024年11月現在、中国が保有する米国債は7686億ドル(約11兆9300億円)相当で、日本に次いで世界2位の米国債の保有国となっている。
米連邦捜査局の担当官は声明で「中国共産党は米国を弱体化させ、唯一の超大国になろうと、米国政府の金融政策や企業秘密を標的にした経済スパイ活動を拡大している」と述べた。
ロジャーズ被告は、経済スパイ行為の共謀と虚偽の陳述の罪に問われている。共謀罪では、最大15年の禁固刑に処される可能性がある。
米金融当局の広報はコメントを控えた。