地殻変動・災害

カムチャツカ半島でM8.8の地震・その直後、クリュチェフスカヤ火山が噴火を始める

出典:Yahooニューススペースチャンネル

【カムチャッカ半島の火山で噴火が発生】
地球に存在する「火山の環」過去に宇宙から撮影された噴火の様子

クリュチェフスカヤ火山(1994年)出典:パブリック・ドメイン

2025年7月30日、ロシア極東・カムチャツカ半島でマグニチュード8.8の巨大地震が発生。(東日本大震災はマグニチュード9.0)さらにその直後、ユーラシア大陸で最も高い活火山であるクリュチェフスカヤ火山が噴火を始めました。
この一連の活動は、「太平洋火山帯(Ring of Fire 通称:火の環)」と呼ばれる、地球でもっとも活発な地質帯における地殻変動の力強さを改めて印象づける出来事となりました。

■ なぜこの地域で?―火山と地震の温床「リング・オブ・ファイア」

【2020年】に発生したクリュチェフスカヤ山の噴火 出典:Елена Верещака

ロシアの地球物理学センターによると、火山では「西斜面を下る溶岩流」が確認され、爆発的な噴煙が上空約2.5キロに達しました。カムチャツカ火山噴火対応チームは、最大8キロの高さまで噴煙が上がる可能性があるとして、警戒を強めています。

クリュチェフスカヤ山は、アジアとヨーロッパにまたがる地域で最も標高の高い活火山で、高さは4,754メートルに達します。カムチャツカ半島に点在する300を超える火山の中でも特に活動が活発で、21世紀に入ってからはすでに18回以上の噴火が確認されており、過去100年間においては60回を超える爆発的噴火が記録されています。

【1994年】に発生したクリュチェフスカヤ山の噴火 出典:NASA

今回の地震は観測史上6番目に強い地震として記録されています。震源の深さは浅く、地震発生直後から24回以上の余震が報告されており、中にはM6.9や6.3の強い揺れも含まれていました。この地震により、日本を含めた太平洋沿岸各地には津波警報が発令されました。なお、カムチャッカ半島では1952年にもマグニチュード9.0の巨大地震が発生しています。

それでは、この地域に巨大地震が度々発生する理由は何なのでしょうか。実は、カムチャツカ半島は太平洋プレートがユーラシアプレートの下に沈み込む「沈み込み帯」に位置しています。この地質活動が、世界でも有数の火山活動と地震の多発地帯を形成しており、「環太平洋火山帯(Ring of Fire 通称:火の環)」と呼ばれています。

M7以上の地震 (1900-2013)  出典:USGS

この火山帯は、

  • 世界の75%以上の活火山
  • 世界の90%以上の大地震

が発生する、まさに地球の活動の最前線ともいえる場所です。特に今回のように、地震による地殻のゆがみが火山活動に影響を与えるケースは過去にも報告されており、地震と火山の「連動性」があらためて注目されています。

クリュチェフスカヤ山の噴火(2023年) 出典:NASA Earth Observatory/Wanmei Liang and Lauren Dauphin

2023年に発生した大規模な噴火では、空へと1,600キロに及ぶ巨大な噴煙の帯を放出しました。NASAの衛星が捉えたその画像では、まるで「悪魔の角」のように二手に分かれて流れる溶岩と、大気圏を突き抜けるかのような噴煙が、自然の脅威を強烈に印象づけています。

今回のロシア・カムチャツカでの巨大地震と火山噴火は、地球の内部が今なお活動的であることを改めて浮き彫りにしました。地質学的な「現在進行形の脅威」として、私たちは自然の力と向き合う必要があります。

太平洋の周囲に暮らす私たちにとって、これは決して遠い話ではありません。皆さんはカムチャッカ半島の地震が日本にどのような影響を及ぼすと思いますか?ぜひコメントお待ちしています。

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/5ba63b652cd92c2db2b5fedf2d336d97fb0d3f19